ある日、母に「この前、道でねんねしちゃったの」と言われた。
ねんね?なんだって?と聞き間違えだろうか?
よくよく聞いてみると病院へ行った帰り道、タクシーを使って帰宅したらしい。タクシーから降りた瞬間気づいたら道路でねんねしていた、通りがかりの人が声をかけてくれた、携帯でお父さんへ連絡して迎えに来てもらった、と言っている。
道ばたで倒れて起き上がれなくなっていたのを、通りかかったどなたかが脇の方へ移動してくださったのかな。
日頃から綺麗な言葉遣いをするタイプでもないけれど、小さい子に使うような「ねんね」という言葉を突然自分に使い出したことに驚いた。
もちろん、タクシーから降りてフラフラしたか、足に力が入らなかったかで倒れ込んでしまったことにも驚いたけれども。
何はともあれ、怪我をしたわけでもなく、大事に至らなかったことは不幸中の幸いだったのだろうけど。
そういえば、最近使う言葉が幼くなっているような。
人間は歳を重ねていくと、赤ちゃんに戻っていくと何かで読んだことがあるけれど。
第二次赤ちゃんがえりなんだろうか。
昔っからわがままではあったけれど、かといって人前で「ヤダヤダ」 とか 「こんなのいらない」 とかストレートにいうことはしなかった。
すこーしオブラートに包んだり、そっと理由を述べてみたりということはできていたはずなんだけど。
第二次イヤイヤ期なんだろうか。
食べることは大好き。父が食事担当をするようになってから、野菜たっぷりメニューを採用するようになり、それが気に入らず食べた気がしない、という。「お肉を食べないと力が出ない」といつも言っていた。
ちなみにすきな食べ物は豚の角煮。フライドポテトも大好き。85歳にしてコッテリ系も油物も
まったく問題なく食べてしまうんだから、頼もしい限りだ。
そして、食べる量もすごい!
ふたりでの夕飯をちょっと覗きにいくと、何人分ですか!という食事がテーブルの上に並んでいる。
私たちの方が少食だよ、食べることはパワーの源なんだろうなとつくづく思う。
だけど、最近母の食べ方が少し尋常じゃないことに気がついた
たくさんたべてすごいね〜、というレベルじゃないほど、あればどんどん口に運んでいる。
お土産に持って行ったミスタードーナツの袋を見て、「何が入っているのかな〜、ハイカラな袋だね〜」と興味津々
袋をあけ、ドーナツが並んでいるのを見て、『わあ〜」と感嘆な声をあげている
みんなでお茶の時にと思っていたけど、待てずにひとつを完食
そしてみんな揃ったところでもう一個完食
その後、お寿司やらおかずやらどんどん食べていき、見ていて怖くなった
満腹感というものを感じられなくなったのも認知症の症状の一つなんだろう。
好き勝手に食べさせるわけには行かないので、個別に取り分けた出し方をしていかなくてはいけないな。